月は満ちる。
夜は明ける。
雨は上がる。
春は訪れる。

でも、
このまま月が欠けてしまえば。
このまま夜が唯続くのならば。
このまま雨が止まずにいれば。
このまま春が来ないとすれば。

それはとても恐ろしいことであり、
同時に心の何処かでかくあれかし、と渇望していることでもある。
月がなければ、泣き顔を照らされずに済む。
夜の世界では、苦痛に満ちた一日は始まらない。
雨が降るなら、全てを等しく流し消し去ってくれる。
春がないなら、初めから希望を持たずにいることができる。

孤独で、昏く、冷たく、殺伐とした世界。
新芽のように温かく柔らかな光に包まれることを心から望む一方で、
そうした哀しい世界に魅かれてしまうのも、ほんとう。
サヨウナラ、サヨウナラ。
早くこんな煩わしさから「解放」されたい。
こんな私でも、「救い」を求めているのよ。